2016年3月29日 藏元

公演から時間は経っていますが、それぞれが過ごす日々の中で、作品のこと、時間、場所を振り返ってみて欲しいなと思い、書く事をお願いしていました。ダンサーとして参加してくれた藏元徹平くんのテキストです。

 

玲奈さん

おはようございます。 遅くなってすみません、テキスト書けました… 土曜日に大学卒業しまして、昨日引越してきました。 古いアパートなので、人が住んでた感がすごいです。2部屋あるので、1部屋は創作に使えたらなぁと思ってます。周りはすごくのどかです。周りには田んぼと教会と卵の自動販売機があります。とはいっても神戸も大阪も京都もすぐ行けるところなので便利です。また関西くるときは寄ってください。

以下、テキストです

玲奈さんからテキストを書くように言われ、だいぶ時間が経ってしまいました。身体で感じたことや頭の中に浮かんでいること、記憶を文字に起こすのはこんなに難しいのかと、ギリギリまで残しておいた夏休みの日記状態です。

今回、玲奈さんと出会って数日後に誘われました。 何日か前に出会ったばかりなのにと思いながら、直感も大事にしてる人なんだろうな、これは面白そう、と思い参加しました。

僕は即興からダンスに入りました。知らない人と即興で踊ってから、会話がうまれて知り合う、ということが多かったのですが、玲奈 さんとの出会いもそうだったので、知り合ってすぐの稽古ですが、懐かしい気分を感じていました。

僕は初対面の人と会話するのは苦手な方なのですが、そんな感じで、初めて来た場所に対して緊張することがあります。きょろきょろしたり、浅くなる呼吸を無理やり深くしてみたり、壁を見たりさわったりして慣れていきます。初めて来た場所に話しかけるわけにはいかないので、身体でアプローチしてみるわけです。 人と会う回数が増えれば、その人がわかってきますが、僕は場所に対しても同じようなことを感じます。

公演場所としてお借りしたお家では稽古ができるだけでなく、周辺を歩いたり、そこに住む人とお家でお話ししたり、少しお手伝いしたり、二匹の子猫ちゃんたちと戯れたり、場所と一緒に過ごす時間を持てました。 壁の傷や窓枠の歪み、窓からの景色、ごろごろしてみた時の床の感じや天井の模様、そういったものが自分の身体の中に入ってくると、自分の身体が場所に溶けていく感じがするというか、自分がお家の一部になったような感覚がありました。

最近引っ越しまして、あのお家のように素敵ではないですが、色んな人を長く受け入れて来たであろう古いアパートに住んでいます。襖を閉めても、顔を上げれば閉まってるのに足元を見たら虫が通れるほど開いています。天井は染みだらけで、引越し屋さんと初めて家に入ったら床が一部水浸しでした。そこだけ真っ黒に色が変わってました。 でもそういう歪みとか染みとかを見つけると、此処には人が居たんだなと、仲間入りした気分になります。そして、此処からまた踊りがうまれるような気もしています。生活のなかにも踊りはあるなと思う日々です。

藏元徹平

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「空の道」

展示作品 「空の道」

4つのショートストーリー(新長田にゆかりあるたくさんの方々にインタビューさせていただき、そのうちの4人の方の実際のお話を元に脚本家の高橋知由さんが4つのショートストーリーを書くという試み)のうちのひとつのお話。

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撮影:岩本順平

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4つの空の写真は、インタビューさせていただいたご本人が撮影された実際のもの。

「こっちの道、むこうの道」

展示作品 「こっちの道、むこうの道」

4つのショートストーリー(新長田にゆかりあるたくさんの方々にインタビューさせていただき、そのうちの4人の方の実際のお話を元に脚本家の高橋知由さんが4つのショートストーリーを書くという試み)のうちのひとつのお話。

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撮影:田添 幹雄
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撮影:岩本 順平
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撮影:岩本 順平

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「時計の道」

展示作品 「時計の道」

4つのショートストーリー(新長田にゆかりあるたくさんの方々にインタビューさせていただき、そのうちの4人の方の実際のお話を元に脚本家の高橋知由さんが4つのショートストーリーを書くという試み)のうちのひとつのお話。

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撮影:岩本 順平

4ヶ月後の「フレンドへの道」

作品を発表して4ヶ月、私は再び新長田へ。そして、やっとこの道にたどり着きました。

ダンス作品と展示作品でひとつの作品だった「わたしのいちばん好きな道」。少しづつ、展示作品について書いていこうと思います。

作品制作にあたり、新長田にゆかりあるたくさんの方々にインタビューさせていただきました。そのうちの4人の方の実際のお話を元に脚本家の高橋知由さんが4つのショートストーリーを書くという試みをしました。

その中のひとつのお話「フレンドへの道」

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今日はあいにくの雨。

でっかいススキは刈られていました。

7個のたこ焼きをひとりで食べた私。

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今度は誰かと一緒に歩いて、たどり着いて、たこ焼きフレンドになれたらいいな。

soundcloud フレンドへの道 ♪ 

制作日誌11 撤収作業

数日間の体調不良が回復し、やっと展示の撤収作業をすることができました。

初めての撤収。

普段ダンスの公演は踊り終わって荷物持って帰って終わるので、時間差でやってくるこの終わる感覚がとても不思議でした。あーでもない、こーでもないと話し合って決めたレイアウトも、片付ける時にはもうずっとそこにあったかのような雰囲気になっていて、外すのがちょっと残念に思われたりして。でもこの場所は、これからまた色々な場所に変化したり、物語が生まれていくんだなーなんて思ったらそれはそれでウキウキして、フラットな場所になっていく様子を楽しめたりもしました。

個人的に嬉しかったことは1ヶ月近くこのお家で制作、発表し、時を過ごしたことでお家の猫たちと仲良くなれたこと。猫アレルギーが治りました。びっくり。猫と過ごすことで克服できる!?ようです。

そんな今日は展示中に撮った映像を。アンと小夏とわたし。

(木村)

制作日誌10 ダンスについて考える時間

展示場であるご家族のご好意のもと、パフォーマンスを終えた後も11月9日まで、2階での展示をオープンしていました。高橋さんは東京へ、藏元くんは大阪へ戻り、ひとり展示を開ける日々が続きました。

7月からずっと考え続けて来た作品が形になったことは嬉しく、その空間や流れていく時間に身を委ねながらその場にいることができたことはとても大きかった。そこに居て、作品を改めて読み直すような、そんな時間でした。

ただ、ひとつだけ展示を開けていて感じた事があります。

ダンスは残せないということ。

私にとってそれはダンスの良さでもあり悲しさでもあります。

パフォーマンスを観る事ができず、展示のみ来てくださった方はダンスを観たかったとおっしゃって下さいます。私自身、ダンスも展示も含めてこの作品なので、あー観て欲しかったなと思う。口で説明しても違うし、そこで本番の映像を流すのも違う気がしました。やっぱり本番のその瞬間に一緒に時間を過ごす事しか方法が無いのです。だからこそ良くて、だからこそちょっと悲しい。

残せないとわかっていても諦めの悪い私は考えます。何かの方法で残せないかなって。それは映像を記録するとかそういうことではない自分たちのやり方で。先人たちが散々試した中の一つでもいいから、その中で残すことも模索していきたいなと。

残せないからやっぱりダンスを観に、時間を共に過ごしにきてほしいという想いと、それだけじゃないダンスの在り方も見つけたいという想い。

そんな、展示をあけながらダンスについて考える時間。

(木村)IMG_7095